漢詩と中国文化
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烏棲曲:李白


李白の七言古詩「烏棲曲」(壺齋散人注)

  姑蘇臺上烏棲時  姑蘇臺上 烏棲む時
  呉王宮裏醉西施  呉王の宮裏 西施醉ふ
  呉歌楚舞歡未畢  呉歌 楚舞 歡び未だ畢らず
  青山欲銜半邊日  青山銜(ふく)まんと欲す半邊の日
  銀箭金壺漏水多  銀箭 金壺 漏水多し
  起看秋月墜江波  起って看る秋月の江波に墜つるを
  東方漸高奈樂何  東方漸く高し 樂しみを奈何せん

姑蘇臺上に烏が帰る夕方、呉王の宮裏では西施が酒に酔いしれる、呉の歌、楚の舞がまだ終わらないというのに、山の端に日が半ば沈んだ、銀の箭(や)、金の壺の水時計は時刻の移るのを知らせ、立ち上がると秋月が川波のなかに沈んでいく、次第に東の空が明るくなってきても、この楽しみは終わらせられぬ


烏棲曲とは塒へ帰る烏の歌という意味で、古来楽府のテーマとなったものだが、李白はそれにことつけて、呉王夫差と西施の宴会を歌っている。西施は越王句践が夫差の歓心を買うために送った女性で、中国史上有数の美女とされる。夫差は西施の色におぼれて国を失ったのだった。






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