漢詩と中国文化 |
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寄題朱元晦武夷精舎:陸游を読む |
陸游の七言絶句「朱元晦が武夷精舎に寄題す」(壺齋散人注) 身閑剰覺渓山好 身閑にして剰(な)ほ覺ゆ 渓山の好しきを 心静尤知日月長 心静かにして尤も知る 日月の長きを 天下蒼生未蘇息 天下の蒼生 未だ蘇息せず 憂公遂與世相忘 憂ふ 公の遂に世と相ひ忘るを あなたは身が気楽になって渓山のよろしさを堪能されている、心が静かなので日月もゆったりと流れるでしょう、しかし天下の人民はいまだに安んじてはいません、このままあなたが世間と疎遠になってしまうことが心配です 淳熙10年(1183、59歳)の作。朱元晦とは、朱子学の創始者朱熹のこと。朱熹は淳熙8年に浙東の倉司として紹興に赴任してきて、当時そこにいた陸游と親しく交わった。二人の政治的な立場は異なっていたが、互いに尊敬しあい、詩の贈答なども行う仲となった。 その朱熹が役人生活をやめ、福建省の武夷山に精舎(学校)を立てて朱子学の研究・教育を始めた。この詩はそんな朱熹に送ったエールの歌と考えられる。 |
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