漢詩と中国文化 |
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寒食雨(二):蘇軾を読む |
蘇軾の五言古詩「寒食の雨(其二)」(壺齋散人注) 春江欲入戸 春江 戸に入らんと欲し 雨勢來不已 雨勢 來って已まず 小屋如漁舟 小屋 漁舟の如く 濛濛水雲裏 濛濛たり水雲の裏 空庖煮寒菜 空庖に寒菜を煮 破竈燒濕葦 破竈に濕葦を燒く 那知是寒食 那ぞ知らん是れ寒食なるを 但見烏銜紙 但だ見る烏の紙を銜むを 君門深九重 君門深きこと九重 墳墓在萬里 墳墓萬里に在り 也擬哭途窮 也た途の窮するに哭せんと擬す 死灰吹不起 死灰 吹けども起こらず 水嵩をました春の長江が戸口の中まで浸水しそうだ、雨が降り続いてやまないからだ、この小さな家は漁舟のようなもの、濛々と立ち込めた霧の中にたたずんでいる 何もない台所で粗末な野菜を煮る、竈には湿った葦をくべる、これでは今日が寒食だと誰にわかるだろう、烏が紙を銜えている事で密かにわかる程度だ 宮中に至ろうにも君門は九重の奥にあり、故郷に帰ろうにも万里を隔てた彼方にある、あの阮籍が道が極まったといって泣いたように私も泣こうか、竈はいくら吹いても火がおこらないから |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009-2011 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |