漢詩と中国文化 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|水彩画|陶淵明|英文学|仏文学|西洋哲学 | 万葉集|プロフィール|BSS |
宿白沙驛(初過湖南五裏):杜甫 |
杜甫の五言律詩「白沙驛に宿す(初めて湖南の五裏を過る)」(壺齋散人注) 水宿仍餘照 水宿仍ほ餘照あり 人煙複此亭 人煙複た此の亭 驛邊沙舊白 驛邊沙舊(もと)白し 湖外草新青 湖外草新たに青し 萬象皆春氣 萬象皆春氣あり 孤槎自客星 孤槎自づから客星 隨波無限月 波に隨ふ無限の月 的的近南溟 的的として南溟に近づく 湖上に宿ればなお残照が消えやらず、この駅亭には人煙が立ち上っている、あたりの湖畔の砂は白く、湖外の草は青々としている あらゆるものが春の気配に満ちているのに、ひとり自分は客星のようにわびしいさまだ、波に浮かんだ無限の月が、輝きながらちょうど南天に差し掛かったところだ 白沙は洞庭湖の南、湘水のほとりにある宿駅。洞庭湖にたどりついた杜甫はなぜか、北上して故郷の洛陽に向かうことをせず、南下して長沙に向かう。白沙にはその途上立ち寄ったのだろう。一面春の気配に満ちた中に、ひとり老弱をかこつ杜甫、そのコントラストが杜甫の孤独をあぶりだしている |
前へ|HOME|杜甫|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009-2011 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |