漢詩と中国文化
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有感五首:杜甫を読む



杜甫の五言律詩「有感五首」(壺齋散人注)

  將帥蒙恩澤  將帥 恩澤を蒙り
  兵戈有歳年  兵戈 歳年有り
  至今勞聖主  今に至るも聖主を勞せしめ
  何以報皇天  何を以てか皇天に報ぜん
  白骨新交戰  白骨 新交戰
  雲台舊拓邊  雲台 舊(もと)邊を拓く
  乘槎斷消息  乘槎 消息斷ゆ
  無處覓張騫  處として張騫を覓むる無し

将軍たちは天子の恩沢を蒙りながら、いまだに戦乱は収まらない、散々天子をやきもきさせるばかりで、いったいその恩を何で報おうというのだ

交戦があるたびに白骨が重なる、雲台(臣下)たちはそれでも辺境を攻めることをやめない、あの張騫は筏に乗って西域にいったまま消息を絶った、その張騫に比肩するような人材はいまどこにもいない


広徳元年に安思の乱が平定されたのもつかの間、その年の10月にはチベット族が蜂起して長安を攻略する事態が生じた。幸い12月には唐将郭子儀の奮闘によって鎮圧され代宗は長安に戻った。その直後代宗は都を洛陽に移す案を議したが、それを聞いた杜甫は、有感五首を作った。






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