漢詩と中国文化
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梅:秋瑾を読む


秋瑾の七言絶句「梅」(壺齋散人注)

  本是瑤臺第一枝  本(もと)是れ瑤臺の第一枝
  謫來塵世具芳姿  塵世に謫來して芳姿を具(あらは)す
  如何不遇林和靖  如何せん林和靖に遇はざるを
  飄泊天涯更水涯  天涯に飄泊して更に水涯

自分はもともと瑤臺に咲いていたもっとも素敵な梅の枝だったのだ、この塵世に下りてきても優れた姿は変わらない、だが如何せんあの林和靖に巡り合うことができなかったので、こうして天蓋をさすらった上に更に水涯までさすらう羽目になるとは(瑤臺:原義は西太后の台、西太后とは皇帝の実の母親を称して云う、謫來:謫は流謫ともいうように落ちることをいう、来は来るという意味ではなく、落ちるさまをあらわしている、林和靖:北宋の詩人、教養の高い文人の象徴として使われている)


この詩は、教養のないつまらぬ男に嫁いだ嘆きを歌ったものだと解釈される。自分はもともと容姿も教養も優れた女なのに、林和靖のような人物に会えなかったおかげで、つまらぬ男と結婚するはめになり、その挙句に天涯はおろか水崖までさまようこととなった。

ここでいう天崖とは中国各地を転々とするイメージを現し、水崖とは日本のことをさすのであろう。






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