漢詩と中国文化 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|水彩画|陶淵明|英文学|仏文学|西洋哲学 | 万葉集|プロフィール|BSS |
下終南山過斛斯山人宿置酒:李白 |
李白の五言古詩「終南山を下り斛斯山人の宿を過りて置酒す」(壺齋散人注) 暮從碧山下 暮に碧山より下れば 山月隨人歸 山月人に隨って歸る 卻顧所來徑 來る所の徑を卻顧すれば 蒼蒼翠微 蒼蒼として翠微にはる 相攜及田家 相ひ攜へて田家に及べば 童稚開荊扉 童稚 荊扉を開く 穀|入幽徑 穀| 幽徑に入り 青蘿拂行衣 青蘿 行衣を拂ふ 歡言得所憩 歡言 憩ふ所を得て 美酒聊共揮 美酒 聊か共に揮ふ 長歌吟松風 長歌 松風に吟じ 曲盡河星稀 曲盡きて河星稀なり 我醉君復樂 我醉へり君も復た樂しめ 陶然共忘機 陶然として共に機を忘れん 日暮れに碧山から下ってくると、山月も我々についてくる、下りてきた道を振り返れば、薄暗い山中に道がぼんやりと続いて見える 君と連れ立って田家につけば、子どもらが門を開けて迎えてくれた、緑の竹が幽徑まで生い茂り、青いツタが我が衣にまとわりつく 談笑しながら体を休めるところを得て、ともに美酒を酌み交わそう、松風に乗せて長々と歌を歌い、歌い終われば天の川もかすかになる 私は酔った、君もまた楽しめ、この境地に遊んでつまらぬことは忘れよう 斛斯(こくし)山人とは李白の道士仲間である。その人と共に山中に遊び、その帰りに田家に立ち寄って、くつろぎかつ飲む。山中問答の詩と同じような趣を歌ったこの詩は、李白の一つの理想を表したものだろう。 |
前へ|HOME|李白|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007-2009 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |