漢詩と中国文化 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|水彩画|陶淵明|英文学|仏文学|西洋哲学 | 万葉集|プロフィール|BSS |
春日醉起言志:李白 |
李白の五言古詩「春日醉起して志を言ふ」(壺齋散人注) 處世若大夢 世に處るは大夢の若し 胡爲勞其生 胡爲(なんすれ)ぞ其の生を勞する 所以終日醉 所以(ゆえ)に終日醉ひ 頽然臥前楹 頽然として前楹に臥す 覺來観庭前 覺め來って庭前を観れば 一鳥花間鳴 一鳥 花間に鳴く 借問此何時 借問す 此れ何の時ぞ 春風語流鶯 春風に 流鶯は語る 感之欲歎息 之に感じて歎息せんと欲し 對酒還自傾 酒に對すれば還た自から傾く 浩歌待明月 浩歌して明月を待ち 曲盡已忘情 曲盡きて已に情を忘る この世の生は大きな夢に過ぎない、何で思い煩うことがあろう、だから終日酔っ払って、縁側に寝転んでいるほうがよい 酔いが覚めて庭を見ると、一羽の鳥が花の合間で鳴いている、いったい今はどんな季節なのかと自問すれば、春風の中を鳥はしきりにさえずる 鳥の歌声に感じ入ってため息をつき、手元の酒を取り上げてはまた飲み続ける、大声を上げて歌を歌い月の出を待っていたら、曲はつきて何もかも分らなくなってしまった この世の生が大きな夢に過ぎないとは、李白の道教的な部分が現れた感想であろう。荘子には胡蝶の夢の話が出ており、李白はそれをほかの詩の中でも取り上げているが、この詩も同じような気持ちを歌ったものである。 |
前へ|HOME|李白|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007-2009 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |