漢詩と中国文化 |
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客遠方より來る:古詩十九首其十八 |
客從遠方來 客 遠方より來り 遺我一端綺 我に一端の綺を遺る 相去萬餘裏 相去ること萬餘裏なるも 故人心尚爾 故人の心尚ほ爾り 文采雙鴛鴦 文采は雙鴛鴦 裁為合歡被 裁ちて合歡の被と為す 著以長相思 著するに長相思を以てし 縁以結不解 縁とるに結不解を以てす 以膠投漆中 膠を以て漆中に投ずれば 誰能別離此 誰か能く此を別離せん あなたからのお使いが遠方より来り、わたしに一端の薄絹を送ってくれました、遠く離れていても、あなたはわたしを忘れないで下さったのですね 薄絹の模様は一対の鴛鴦、これを裁って共寝の褥といたしましょう、中に詰める綿は長相思、いつまでも末永く添い遂げる思いをこめましょう、縁には結不解、決しては離れぬとの思いをこめましょう 膠を漆の中に入れたら、だれも引き離すことはできますまい、わたしたちもそのようにありたいものです 夫と別れて暮らす妻が、夫から薄絹を送られた喜びを歌うものである。その薄絹を以て、夫婦共寝のための褥を作り、夫が帰る日にそなえようという、けなげな気持ちが歌いこまれている 長相思は綿の縁語で、綿々とつながるさまを表す、結不解は糸が結び合わさってほどけぬさまをいう、合歡被とならんで、中国人特有の修辞法である |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007-2008 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |