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詠懐詩其三十三「一日復一夕」:阮籍



阮籍の詠懐詩其三十三「一日復一夕」(壺齋散人注)

  一日復一夕  一日復た一夕
  一夕復一朝  一夕復た一朝
  顔色改平常  顔色平常を改め
  精神自損消  精神自ら損消す
  胸中懷湯火  胸中湯火を懷き
  變化故相招  變化故に相ひ招く
  萬事無窮極  萬事窮極無く
  知謀苦不饒  知謀饒(おほ)からざるに苦しむ
  但恐須臾間  但だ恐る須臾の間に
  魂氣隨風飄  魂氣の風に隨って飄るを
  終身履薄冰  終身薄冰を履む
  誰知我心焦  誰我が心の焦(あせ)るを知らん

一日また一夕、一夕また一朝と、容顔は衰え、精神は消耗していく

胸中に火のように熱い思いを抱いているから、このような変化を招くのだ、万事は窮まりなく、智謀の足りないことが苦しい

恐るべきはあっという間に、死んで魂が風に吹かれてしまうことだ、一生薄氷を踏むような、自分の心の焦りをわかってくれるものは誰もいない


時は速やかに過ぎ去り、万事は極りないというのに、自分には命は限りがあり、知恵も及ばないことを嘆いた歌






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