漢詩と中国文化 |
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楽府歌辞:戦城南 |
古楽府は民謡であるから、人民の生活を詠んだもの、歌ったものが多い。生活を歌い、戦争を呪い、男女の恋情を述べたものなど数多くあるうちにも、無名の庶民によるものに佳作が多い。 ここでは、戦場に倒れた兵士の嘆きを歌った歌「戦城南」を取り上げよう。 戦城南 戰城南 城南に 戰ひ 死郭北 郭北に 死す 野死不葬烏可食 野に死して葬られずんば 烏食ふべし 為我謂烏 我が為に烏に謂へ 且為客豪 且く客のために豪せよ 野死諒不葬 野に死して諒に葬むられず 腐肉安能去子逃 腐肉安んぞ能く子を去てて逃れんと 城南に戦って、郭北に死す、野に倒れて死ねば烏が我が肉を食うだろう、我がためにカラスにいってくれ、しばらく食うのをガマンせよと、(豪:豪気、任侠の意) 野垂れ死にして葬られることもないこの身、お前たちを逃れることなどできないのだからと 水声激激 水声 激激たり 蒲葦冥冥 蒲葦 冥冥たり 梟騎戰鬥死 梟騎 戰鬥して死し 駑馬徘徊鳴 駑馬 徘徊して鳴く 梁築室 梁は室を築くに 何以南 何を以て南し 何以北 何を以て北する 禾黍不獲君何食 禾黍獲らずば君何をか食はん 願為忠臣安可得 忠臣たらんことを願ふとも安んぞ得べけん 水声が激しく響く、蒲や葦が生い茂る、騎士が倒れて死せば、馬は主を失っていななく、 この男は腕のよい大工、立派な家を築く能があるのに、どうして南に北に戦い続けねばならぬのか、 実りはあっても収穫をするものがいなければ、君主といえども食を得ることはできぬ、忠臣として働き続けようとしても、収穫ができぬようでは長続きするものではない 思子良臣 子の良臣たらんことを思ふ 良臣誠可思 良臣誠に思ふべし 朝行出攻 朝に行き出でて攻め 暮不夜歸 暮に夜歸らず 泰平の世にあって良臣してつとめたいものだ、それこそ望ましいことではあるが、いまはこうして、朝に戦闘に奮い立ち、夕べには帰らぬ人となる |
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