漢詩と中国文化
HOMEブログ本館東京を描く水彩画陶淵明英文学仏文学西洋哲学 | 万葉集プロフィールBSS

發潭州(時自潭之衡)杜甫



杜甫の五言律詩「潭州を發す 時に潭より衡にゆく」(壺齋散人注)

  夜醉長沙酒  夜に醉ふ長沙の酒
  曉行湘水春  曉に行く湘水の春
  岸花飛送客  岸花飛んで客を送り
  檣燕語留人  檣燕語って人を留む
  賈傅才未有  賈傅 才未だ有らず
  楮公書絶倫  楮公 書絶倫なり
  高名前後事  高名前後の事
  回首一傷神  首を回せて一に神を傷ましむ

夜は長沙の酒に酔い、暁は湘水の春景色を見ながら歩く、岸辺には華が飛び交って客を送り、ツバメがさえずれば人が足をとめる

賈傅ほどの才能を持った人はまだ現れぬ、楮遂良の書は古今に絶倫だ、二人の名声は前後しているが、彼らのことを思い起こすと切ない気分になるのだ


潭州は長沙の別名。大暦4年の春、杜甫は長沙に短い滞在をした後、さらに湘水を遡って衡州に向かった。この詩はそのときのもの。

賈傅は前漢の文人賈誼、筆禍により長沙王の太傅に左遷された。チョ公は唐初の書チョ遂良、やはり長沙に左遷されている






前へHOME杜甫次へ




 


作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009-2011
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである